
なぜにヘレン・レディ? と言うなかれ。77年のこの盤、ソフト・ロック・ファンには名盤と知られた1枚。ビーチ・ボーイズ色というか、よく出来た西海岸サウンド。
プロデューサーが Kim Fowley & Earle Mankey 。録音スタジオはBB所有だったサンタモニカのブラザー・スタジオ。で、このスタジオのハウス・エンジニアのアール・マンキーが録音/ミックスも担う。アール、元はハーフ・ネルソン。このバンド、ミール兄弟とマンキー兄弟の四人バンドだった。マンキー兄弟はロスに残ったがミール兄弟は渡英、ふたりはスパークスへと名を変えて成功した。裏方に回ったアールはブラザー・スタジオ・スタッフとなり、BB盤やその関連盤仕事を担当。そしてキム・フォーリーは、ご存知「ロック界の寝業師」。
この盤、ステファン・ビショップ/スティーヴィ・ワンダー/ケイシー・ケリーらのカヴァーが半分。それらも悪くないが、より良いのは書き下ろしの5曲。ヘレン自ら書いた詩にフォーリー、アール、それとリック・ヘンらが曲を乗せた。これが素晴らしい出来なのだ。ここで出てくる Rick Henn 。ヘンは作曲とアレンジの一翼も担う。
ヘン。BBウィルソン兄弟のパパ、マリーがBBへの当て馬として仕掛けたサンレイズ、そのリーダーだった男。が、マリーは置いておいて自身はブライアンと仲がよく、共作もしているほど。彼の妻キャシーは Kathy Dragon 。キャプテン&テニール、キャプテンこと Daryl Dragon の妹。そのキャシーへのプロポーズのために書いて録音したのが大名曲 "girl on the beach" 。シングル・オンリー、けしてヒット曲ではないがこれを知らないBBファンはいないだろう。
寡作だが希代のメロディメイカーのヘン、彼が手掛けた曲(共作)が含まれていることが大正解のヘレン盤。ハル・ブレイン/バーニー・レドン/TOTOメンツも参加。コーラスにカート・ベッチャー/ジョー・シャーメイ、それと non-credit だがブルース・ジョンストンも参加しているということでBB色はより濃くなっている。この頃はすっかり西海岸の人に成りきっていた、エルトン・バンドだったナイジェル・オルソンも。
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いままで気にしなかったがタイトル_Ear Candy とは何ぞや。「耳障りのいい音楽」ですかい。これ、ちょっと違う気がするワ。それとジャケ写も…まあヘレン盤らしくはあるけれど、もうちょっとどうにかならなかったか。タイトル/ジャケで損している。とはいえ、ヘレン盤の購買層にキム・フォーリーやリック・ヘンを知る者はいなかっただろうがね。
posted by denny-0980 at 10:16|
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