2021年10月09日

SD deleted tunes

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いくつかのバンドとアーティストを長いこと追っていたが
最近は…ブライアンすら何が新譜か分からない有様.
それでも,たまに目に付くことがあって,この贔屓バンド=
SD (Steely Dan) なんだが,最近ちょっと見つけた小ネタは_
ママパパがらみ.
+
このレコは昨年買った_UKから送らせた物.
見ての通りのトンデモジャケの,内容も能の無いコンピ_
1.5€だったかな,200円程度のレコは送料のほうが高く
ついたがそれでも1000円かかってない.
まあカス盤ではあるが個人的には,SDマニアとしては
非常に意味ある1枚.
ジャケにあるようにこれは PROBE label sampler ,
英EMI の廉価レーベル MFP からの1972年盤.
PROBE は欧州レーベルで,米ABC/Dunhill音源配給先.
なので収録はすべてUSアーティスト音源.
Dunhillを支えたママス&パパスやスリードッグナイトなどを
収録だが,ここに「新人バンド」SDの "Dallas" も収められて
いたので買った次第.
72年時点で,すでにこの曲が「オフィシャルに」出ていたのが
驚きなのだ. 唯一盤.
唯一とは,SDのブレイク前に=Q dallas / sail the waterway
2曲うち1曲でも収録した盤という意味.
ベッカー/フェイゲンは忌み嫌い,SDのボックスにも収録を
認めなかった「幻のファーストシングル両面」がこの2曲.
ゲイリー・カッツすら一切語らないほどに、SDヒストリーの
「黒歴史」…というより3人はこれは「無かった」ことと完全無視を
貫き通す.
+
+
72年デビューLP『can't buy a thrill』リリース前に,
「リリースしたシングルだが,速効で回収された…」とも言われる.
たしかにUS ABC 盤/UK PROBE 盤シングルは存在するが,
レーベルに promotion と入ったものと入っていないものがある_
けれども両国ともに市販盤はないと思う. すべてラジオ局向けの
DJ copy で,極小ロットを刷っただけで回収などするほどの枚数は
出ていないだろう.
「曲がカントリー風でイメージに合わないからレコ会社が回収した」
「カッツの名が Gary Kannon になっていて激怒して回収させた」
他にももっともらしい理由付けはあるが,すべて眉唾.
Gary Katz はもともとNYでリチャード・ペリーのところで修行していたが
(71盤『barbra joan streisand』がペリー・プロデュース盤で,
 ここにベッカー/フェイゲン曲が1曲のみ収録されていた:これが
 ふたりがカッツと知り合ったきっかけだろう)
ヘッドハンティングなのかどうか,西海岸ABCのハウスプロデューサーへ
迎えられて異動,ついてはB&Fふたりも…ソングライターとして
誘ったのではなく,ABCからバンドデビューをすでに考えていたと思う.
ちなみにカッツはペリー・プロダクション時代まで
Gary Kannon の名前だった,『can't buy a thrill』以降 Katz に変えた.
+
dallas / sail the waterway
この2曲,USは前述プロモシングルが少数出回っただけでその後に
一切オフィシャルリリース無し.
英・日は,SDのブレイクを見て便乗商法_英は77年に4曲入りの
12インチとして/日本は翌78年に『aja』ヒットを受けて独自コンピ
『スティーリー・ダン』という7曲LPを出す,ここに2曲とも収録.
リリースは12インチ/LP,これだけ. どの国でもCDにはなっていない.
すべての音はモノラル. USプロモのなかにMono/Stereoで両面と
なっているものもあるが,どちらもモノらしい.
+
で,,,やっと戻るが, Dallas が72年にひっそりと…まだ海の物とも
山の物とも分からないときのSDの曲が,,収録されていた,その盤を
見つけたワケですわ.
安かったのも理由だが,万に一つの可能性…もしや Stereo take が
紛れてはいまいか…と期待したが,それはなかった.
裏ジャケには
"Dallas"_ from the Probe album [Can't buy a thrill]
と書かれている. UK PROBE への US ABC からの
リリース・インフォメーションでは,デビュー盤収録と
あったわけだ.



「Steely Dan…, バンド・デビューすれどB&Fの専政進み,
ひとり二人と切られ…ついにはユニットと化して
バック演奏は腕利きスタジオメンツに専任させた_
そのセッションクオリティがあまりに高く,
いまもってスタジオレコーディングの金字塔たり得ている」
てなところかね.
ま,金字塔に異論はないのだが,端から「バンド」の考えは
なかったと想像している.
ベッカー&フェイゲンが誘ってNYからロスへ連れてきたのは
デニー・ディアスだけだったと思う.残り三人はカッツが_
なのでフェイゲンは「誰だ?こいつら…」だったんじゃないか.
カッツとしては,二人の楽曲を活かすためにトップのスタジオ勢を
使いたかったが,新人にその予算は無し_とりあえずは
自前で音を作るしかない,そこで旧知の…
Vocal : David Palmer は,キング&ゴフィンの tomorrow レーベルから
シングル出していた Myddle Class のメンバー. SD後も
キングの "jazzman" を共作したようにずっと「キャロル組」と
いえそうなミュージシャン.
Guitar : Jeff "skunk" Baxter もボストンのバンドで既にLPリリースの
プロ活動があった.
Drum : Jim Hodder, 70年唯一盤『welcome』リリースのバンド
Bead Game のドラマーにしてリードヴォーカルだった.
この盤のプロデュースは Gary Kannon その人.
ということで,三人ともにティンパンアレイ関係ミュージシャンで,
カッツの顔馴染みだったんじゃなかろうかな.
(フェイゲンがいながらパーマーを入れたのは,フェイゲンが
 猛烈な自信家にして極度の stage fright …だったんじゃないかと,
 これは想像…)
+
NY long Island 在のセミプロギタリスト Denny Diaz(Dias) が
Village Voice 誌に「メンツ募集:ジャズやる気ある奴」と出したのに
応えたのがB/Fで,ディアスが率いた Demian というバンドに
参加,これがSDの大元と言えなくもない.
ディアスという人は,結局最後(『ガウチョ』を最終SDアルバムと
個人的に位置づけ)までSDに付き合ったギタリスト.
他にセッション参加もなかった(1枚だけ見つけた)のは
ロックにまったく興味がない人だったと想像する.
+
+
シングル「A : dallas / B : sail the waterway 」
ホッダーはほんといい声, Aのヴォーカルを取っている.
Bの歌はフェイゲン自身.
たしかにともに,SDらしいジャジーさも屈折も感じさせない
カントリーロックtune. にしても,B/Fのペン,どちらも凄くいい曲.
初期の重要曲に "Brooklyn" があるが,乾いた青空が広がるイメージで,
転調もないストレートなアメリカンロック.
この2曲も同様…フェイゲンの初期衝動というか,この手も
SDの一部であったがファースト以降はすっかり
影をひそめた.("pearl of the quarter" が最後か_)
+
初期メンツに関してだが_
ギターはスカンクの前に, Elliott Randall を
フェイゲンが誘ったと確信する. Demian 時代からの
仲間だったから.
が,ランドールは生粋New Yorkerで,サンタモニカの
暑さと西海岸の脳天気加減が肌に合わぬと
拒否したんだ,きっと…wwww
+



さてここから本題.
3年前にこのCDが出ていたこと,最近気付いた.
ママス&パパス四人で一番目立たなかったパパ, Denny Doherty の
『of all the things: complete ABC/Dunhill masters』

70年のソロ『watcha gonna do』全曲にシングルとお蔵曲を
足した16曲CD.
ここにB/Fが書いた2曲が収録されている.どちらも
"Gary Kannon" produce . しかし1972年に録られながらここで初出,
当時出なかったシングル両面らしい.
sail the waterway / giles of the river

"giles of .." はまったくの駄曲,見るべきものなし.
ただこの曲は,同じDunhillアーティストだからだろう,
ex-Steppenwolf の John Kaye が73年セカンド・ソロで
カヴァーしていた.
語るべきは "sail the waterway" _
前述どおりにストレートなアメリカンロックチューンで,
全編に Skunk Baxter の冴えたsingle coil tone が,
double track で響くのがSDのテイク.
で、最初に思ったのはデニーのテイクでのバックトラックは
SDテイクを流用,ヴォーカルだけを被せているだろうと.
しかし違った_かなり似たアレンジで一聴すると「同じ?」と
感じるほど. が,よく聴けば別ですな,
で,やはりここでもSkunk guitar は健在.
デニー2曲もバックはSDリズム隊が担当したはず.
+
そこで思う, このデニーのシングルが
もしかするとゲイリー・カッツのABCでの初仕事かもと.
SDのデビューを画策していたカッツに,まずこのデニー・ドアティ
のシングル仕事が振られた_そこでカッツは,ベッカー/フェイゲンに
「デニー用シングル曲」を書かせたのではないだろうか_.
"dallas" "sail the waterway" "giles of the river" …
もう1,2曲あったかも.
4〜5曲を,バンドの腕慣らしも兼ねて「デモ録音」して
提出したのではないか.
うち,2曲を録り直した…が,オクラになってしまった.
それを惜しく思ったかレコ会社ABCは,新人バンドの様子見がてらの
2曲のプロモシングルを作ってしまったというのが
事の顛末…ワタシの勝手な妄想ですがね.
ならばフェイゲンが「おいおい,人に書いた曲,それも
デモ録り…それをシングルリリースとは何のつもりだ!」
と怒りそうなものかと….
+
"dallas" はジム・ホッダーの声がいい感じ.
スカンクがpedal steel & guitar, それとコンガも…八面六臂.
75年にPOCOのカヴァーがアルバム [head over heels] 収録された.
Rusty Young というペダルプレイヤーがいるバンドだから
モロにハマった. ポコもABCの契約バンドであったし,
後のeagle-ティモシー・シュミットはその以前から
SDのアルバムにコーラス参加していた仲.


posted by denny-0980 at 14:03| Comment(0) | Assorted | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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