Zepp がアメリカンバンド?_何をボケてる、『聖なる館』『プレゼンス』『永遠の詩』などHipgnosisデザイン盤が続いたではないか…とUKロックマニアの声がありそう。ヒプノシスほど英国<鴻bクを体現、感じさせたグラフィックチームはない…といえば皆が首肯するはず。そんな彼らの仕事のなかにもこれ_アルスチュワート盤。アルは72年『orange』までは、ドノバンほどのネームバリューなけれど実に英国らしいSSWとしてコアなファンが付いていた。ブレイクはその次『過去現在未来』。ジャケもここから4〜5枚ヒプノシスが続く。
この73年盤だが、日本盤もこれだった、ヒプノシスによる(まだphotoshop時代ではない)ハンドメイドの写真合成、実にヒプノシスらしいジャケ。ところがUK盤はヒプノシスではない、それまでのイメージを継承した「英国紳士」ポートレイト・ジャケ。ヒプノシス仕事は米国盤のみだったのだ。これどうでしょう_リックウェイクマンのkbdやティムレンウィックgtrが冴える音像はSSWから脱皮、ヒプノシスのジャケのほうが音に寄せているのは確か。オリジナルは絶対にUS盤。


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これは前に書いたかな_われらがロッドスチュワートも判断迷う不思議なリリースであったことよ。
いまや紛れなく「アメリカ人」となっているロッドだが、その端緒はアルバムタイトルで宣言_『大西洋渡り』Atlantic Crossing/75年盤。われ、大西洋を渡り摩天楼へ向かうぞ<Wャケイラスト盤=イラスト*ピーターロイド/デザイン*KOSH/プロデュース*トムダウド。
しかしだ…ロッドはその以前からAmerican だった。いやいや『ガソリンアリィ』『エヴリピクチャ』『ダルモーメント』…UKロックの傑作だろう、て? そうなんだがなぁ…たしかにUK録音/UKミュージシャンなので音に関しては文句無く「英国」ではあるんだが…それでもレコードとしてはオリジナルはUS盤と言い切る。『ガソリンアリィ』のみUKオリジナルとしていいが_これはVertigo原盤でありジャケもヒプノシスと並ぶUK音楽デザインの雄Keef であるから。これ以外はUS盤オリジナル。
というのは、ロッドはソロの始めから「アメリカ Mercury 契約シンガー」。対し並行して活動したフェイシズのほうは「イギリスWarner Bros.契約バンド」であった。ソロ・ファーストが紛らわしい_これUK盤は『an old raincoat won't ever let you down』のタイトルで、文字のみの味気ないUS盤(タイトル『the Rod Stewart Album』)よりオリジナルらしく見える。が、先に出ていたUS盤がオリジナルであり、それを良しせずKeefデザイン/改題したのがUK盤だった。『エヴリピクチャ』『ダルモーメント』は凝ったギミックジャケットで、デザインはこれもAGI担当/デザイナーは米国人ジョンクレイグ。アメリカ制作のこちらがオリジナル盤であるヨ。ちなみにUKワーナー契約のフェイシズでも『ooh la la』のギミックジャケはAGIのオーナーデザイナーのジムラディックによるからこの盤もUS盤がオリジナル!(ラストのライヴ盤もジョンクレイグ・デザインゆえUSがオリジナル)