2023年08月18日

Muscle - Criteria


https://www.youtube.com/watch?v=poDjuRlaNAg

サザーランド兄弟といえば_ロッドスチュワート歌唱による "Sailing" …UKのロック・アンセムとも言われるほどメジャーになった曲だが、これのオリジネーターとして最も知られるか。72年シングル。これは、マフ・ウィンウッド(スティーヴの兄)プロデュース/Richad Digby Smith エンジニアときっちりUK仕事なんだが、75年盤『reach for the sky』は違っていた_
プロデュースがロン&ハウィー=アルバート兄弟。Fat Albert Productions
録音がロンドンの2スタジオなのだが Remix & Mastering はアルバート兄弟の地元=マイアミ・クライテリアスタジオ

ロン&ハウィーはビル・シムジク/アレックスサドキン/マイクルイスらとともにクライテリアのハウススタッフ(その後独立し現在はマイアミで自前スタジオ経営)だった。クラプトン『いとしのレイラ』にも名があるが、ステファンスティルスの懐刀でスティルス盤では大抵兄弟が仕事していた。
そのクライテリアはアラバマ/マッスルショールズスタジオとは実に深い関係_マッスルは狭くて弦の録音ができない、なのでほぼ全てのマッスル録音曲のストリングスはクライテリアで行われていた。
で、これは想像だが、ロッドに "Sailing" を勧めたのは(弦アレンジャーのマイクルイス経由で)アルバート兄弟だったのでは_。
同じ英国人だからその前にロッドはサザーランド曲を知っていただろう…とは思えないんだね。英国でもヒットでないこの曲、ロン/ハウィーがサザーランド兄弟仕事をするなかで既発のこの曲の良さに気付いたのではないか。
同じ75年にロッドは『大西洋横断』録音の半分をマッスルでやった。あきらかに「それはスポットライトではない」も_これはその以前に何度もこのスタジオで録られてる_マッスル側オファー曲だ。
ちなみに、マッスルショールズ。辺鄙な田舎町だが音楽産業としてはしっかり構築されていた。単なるスタジオ貸しではない、レーベルもあれば著作管理会社もある。トータルで完パケまでもっていけた。特に曲だが、フィリップミッチェル/ジョージジャクソン/ジョージソールらマッスル・ライターの書き下ろしを訪れるアーティストに提供していた。デトロイトロッカー=ボブシーガー "good old RocknRoll"しかり、オズモンズ "one bad apple" しかり。地元利益優先でもあろう、やりやすい楽曲で早く仕事を済ませたいというのもあったと思える。(ポールサイモンを驚かせたほどマッスルは仕事が早い)

UKで圧倒的支持されるロッド"Sailing" だがマッスル録音。この曲、アコギ3本とエレキ3本をすべて Peter Carr ひとりで多重。イントロはヤマハの12弦アコギで、レギュラー弦を外す(細弦6本だけ使用)=ナッシュヴィルチューニングで弾いている。ピートのギター、それとバリーベケットのエレピ/シンセ、これ無くしてこの名曲は成立しなかったと思う。弦入れは当然クライテリア_。




posted by denny-0980 at 09:20| Comment(0) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする