2018年03月27日

REO speedwagon


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この84年の REO 盤もコッシュ・デザイン。組むことが多かった Ron Larson とふたりの作。ラーソンはイラストレーター仕事のほうが多かった人。
 そのラーソン趣味なのか、さほどコッシュらしさは見られないジャケ。斯様に、アートディレクションは別人でデザインのみ仕事とか…全面イラストは依頼であるとか、仕事のパターンはいろいろだったのでコッシュの名があってもすべてが好みとはいかなかった。
 そんな盤、たとえばこのレコだが、ジャケよりも「中」が良かったりする。コッシュは文字組が大変美しいデザイナーであったから、inside sleeve は大抵いいのだ。歌詞とかクレジットが、ワンパターンではあっても毎回溜息が出る素晴らしさで。

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 この盤ではこの面! メンバー顔のコラージュだがやはり素晴らしい。これをジャケットにして欲しかったほど。映画大好き男<Rッシュらしさを垣間見せる…これはゾエトロープだ、たぶん。

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posted by denny-0980 at 22:55| Comment(0) | Kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月17日

看板に偽り

#169
【Muscle Shoals has got the "SWAMPERS"】
produced by various
('17 Muscle Shoals Sound Records)
<B:★>

買うかどうか悩んだが、まあこれだけマッスルマッスル言っている身としては…。期待はまったく無く、聴けば「やっぱり」。
 昨年末に Malaco から出たCDで元は、10年ほど前だったか Alabama Music Hall of Fame がリミテッド・エディションとして発売したマッスル・スタジオ・メンバーによる音源CD、その10曲に今回4曲ボーナス追加でリリースされた。過去盤買い逃していたので全14曲が初聴き。
 マッスル・ショールズ・リズム・セクションによる全曲インストで、スタジオの空き時間を利用して録音されていたという。四人衆をメインにピート・カーを始めとするマッスル・プレイヤー、マッスル・ホーンズも参加。
 disk UNION 広告では69〜78年音源に90年代ボートラが内容だという。が、初年69年曲があるとは思えない、既発10曲はすべて75年頃以降と思う。そして90年代の4曲ボートラだが、シンプルな音作りは逆に70年代初頭の雰囲気。しかしギターはウィル・マクファーレインというからそれはあり得ない。

まず最初に、ブックレットが20ページ、使われている写真がカヴァー含めすべて低解像でジャギー出まくり、酷い。デジタル・フォト・データということを知らないのかどうか、いまどきのブートCDでもこんな酷いモンはないので驚いてしまう。マラコというレーベルはデジタルについてこれてないのだろうか。これからしてトホホだが…。
 その内容。看板に偽りあり_まったく「スワンプ」していない。個人的には想像通りだが、ほとんどAORというかフュージョンというか…。
 マッスル四人衆は、才能溢れるミュージシャンの「バックでこそ」輝くのであり、彼ら自身に(演奏能力は最高だが)音楽クリエイトの才はぶっちゃけ無い。あれば人のバックなどやってない。その彼らが自分らだけで作るとなると…往々にしてこの手は、キーボードが引っ張ることになる。となるとアカデミックに音楽を始めているキーボーディスト仕切りは、やっぱりフュージョンぽくなってしまうのだなこれが。オールマンズ後にジェイモ/チャック・リーヴェルらが結成したシー・レヴェルが同様だった。これは歌があったが、このCDは完全インストゆえフュージョン色はより強い。
 ギターはすべてピート・カーで、自作2曲も。ソロ作とほとんど同質。他は四人衆作、ベケット単独など。キーボーディストのベケットは仕切る。エレピ/クラヴィ/シンセで_。

ウィル・マクファーレイン。78年頃だったか、久保講堂へ出掛けたのはボニー・レイット初来日公演。この時のギターはウィルじゃなかっただろうか。この人はボニー・バンドのギタリストとしてしか知らなかった。が、80年代に入って、そのバンドを抜けてマッスルへやってきたという。以後現在までマッスル暮らしだそうで、マッスル・リズム・セクションの一員として多くのセッション参加とか。知らなかったワ。見返せばいままでに評価してきた盤のなか、数枚に参加だが気付かなかった。
 ボートラ4曲はウィルのギターらしい。これが思わぬ聞き物だった。ウィルのプレイはスライドが多く、全体に前述通りにあえて渋め≠ネ快演。10曲よりもはるかに swamp /サザーンな曲揃い。ベケットもシンセなど使用せずに王道のハモンドB3弾き(ベケットはすでにナッシュヴィルで、ここはクレイトン・アイヴィかも)。
 ベスト・トラックはボートラから "sunday morning R&B" 。9分長尺は冗長すぎるが、4分ぐらいでここにそれなりの歌が乗ったならかなりイケるトラックとなったはず。

+++++

トホホなCDではあるが、Alabama Music Hall of Fame の館長ディック・クーパーという人が書くライナーノーツはさすがに詳しく、知らなかったマッスル録音盤が多く記載されている。今後の資料になる。これのみが収穫。



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左端 Junior Lowe :
ギタリストのロウはなぜマッスル・スタジオへ行かなかったか、
Fame に留まったのだろう…


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L-R: hood, johnson, ? hawkins, beckett
さてセンターは?_たぶん John Prine

posted by denny-0980 at 12:08| Comment(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月06日

ドジョウ狙い盤


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#168
【Edwards and Ralph】
produced by Peter Yarrow & Barry Backett
('77 Ariola America)
<C:★★>

良くよく解釈して「ポップス」王道。とて、カーペンターズのような才能もなく、マグレガーほどに曲に恵まれたわけでもなく。正直やってもうた°C分、かなりトホホ…。
 
便利な時代で、ネットで見つけたのはレアな「マッスル」盤。誰も知らなかったはず、カナダの男女デュオ盤で『Edwards and Ralph』という77年LP。レアなマッスル盤といって、下に書いたトゥールーズ姉さんらのレコはディスコでとても買う気にならなかった。しかしこの2人盤は曲が粒ぞろいゆえもしやいけるかもと期待が…、でもってわざわざ discogs から買った次第、カナダのお店から。

届いてまず裏ジャケ・クレジットを見ると実に意外だった。beckett / hawkins / johnson / hood + pete carr, tom roady の演奏。文句なしのマッスル・セッション…なのに、recorded at the Le Studio, Montreal, Canada のみ。アラバマではなくモントリオールだという。同時期のブール・ノアール、トゥールーズらカナダ勢をマッスルで録りながらなんでこっちはカナダまで出張ったのだろうか。エンジニアも Gregg Hamm, Steve Melton とマッスル・メンバーだし、マッスル・ホーンズ4人も参加とあるが、マッスルのハウス・チーム全員がわざわざ出張りとは正直信じられなく、たんなる表記漏れ_マッスル録音が大半なのでは(それともマッスルスタジオご一行様のカナダ慰安旅行を兼ねて?)。ペダルスチールが Weldon Myrick …エリア・コードのおっさんの名も、これはオーバーダブだね。ミックスはナッシュヴィルのスタジオ。マッスル/ナッシュヴィル路線のポップス物。

セッション・クレジットは詳細なのに、肝心の2人はまったく表記無し。エドワーズとラルフ、姓か名か、男女分けすら分からなかった。仕方なしにこれもネット検索_ さすがだな [45 worlds] にあり。Cliff Edwards と Jackie Ralph のふたりでした。ジャッキーの声は「愛はかげろうのように」のシャーリーンを思わせる高音…いわゆる「天使系」か。
 プロデュースが ex- PPM のピーター・ヤロウ、とベケット。ということで、シロウトさんは分からないだろうが当方には見えた_メアリー・マグレガーの次ぎ、二匹目どじょう狙い盤と。ヤロウは自身でも3枚もマッスル録音盤を出している。が、線の細いヤロウの声質はほとんどマッスルと合っていなかったと思う。それでも、バックコーラスをしていたメアリー・マグレガー嬢のLPも(ついでに?)マッスルで、ベケットと共同プロデュースで録ったら、そのタイトルトラック "torn between two lovers" _シングルが全米1位に輝く快挙。これで味をしめての第二弾がこのデュオ盤なのは明白。レーベルも同じアリオラ・アメリカ。
 全10曲に2人の作なく(これもマグレガー盤と同様)、あくまでシンガーに徹してヒット狙い。マーク・ジェイムス=シンシア・ワイルから始まり、ギャラガー=ライル、アレッシ兄弟、リチャード・スパ、ダニー・オキーフ、トム・スノウ、ジャック・テンプチンらの楽曲、マッスル・ライターのフィリップ・ミッチェル、それとヤロウの書き下ろしとナイスな選曲は期待値高かった。が、問屋はなかなか卸してくれないのが音楽業界の常。凡庸の一言に沈み、人知れぬまま田舎のレコ屋の棚にひっそり。

++++++


当初は若干の期待もあって、久しぶりに海外からのアナログ買い。CDと違って送料が本体より高くつくのが難のアナログ。今回は VG+ コンディションで US $10.00 プライス盤だった。LP1枚でもまず2000円は下らないのが(北米から)エア送料。これがもったいないので、店にメールで Surface(船便)にしてくれと頼む_これで shipping charge は US$12.00 に。ほぼ半分にして、合計の Paypal check は円建て¥2534也。神保町界隈の中古レコ屋にもしあれば¥500以上は許されない盤をヨケタ買いは無理したが、まあ探して見つかる可能性はまずないので致し方ない。
 サーフェイスでは下手すると「割れる」かもと危惧した。過去に「割れた」ことがある。積み荷の多さもかかる時間も半端ないので。10枚ぐらいのまとめ買いならともかく、1枚はとくに危険。しかし今回のカナダ店舗、なかなかにプロフェッショナル。斯様にエア・クッションで挟み込みでのピザ箱梱包は軽量・堅牢、6週間の船旅でも無事に届く。


えあぱっく.jpg


posted by denny-0980 at 16:32| Comment(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする