2016年12月20日

Jackie Moore part 2


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#164
【Jackie Moore / make me feel like a woman】
produced by Brad Shapiro
( '75 Kayvette)
<B:★★★>



さて音のほうだが…。一聴ではその声が、ミリー・ジャクソンほどのアクはなくとも声質は似ている、グラディス・ナイトっぽくもある、それで苦手な歌い上げタイプだったので、こりゃハズれか…と感じてしばらく置いておいた。が、時間をおいて二度三度と聴きかえすにじわじわ来ますワ_悪くないよ。もうちょっとメロディが良ければとも感じるが、平均点以上の出来。
アップ、ミディアム、スローあり。スロー曲では若干アーシーに南部滋味もあるが基本的には典型的なマイアミ・サウンド。跳ね≠フリズム。
バックメンツは見事なまでの「マッスル仕様」。全曲がマッスルサウンド録音で四人衆(ベケット/フッド/ホーキンス/ジョンソン)にサブのピート・カー gtr/ジェリー・マスターズ bass/トム・ローディper.でリズム隊。ラッパはマッスル・ホーンズ四人衆(キャロウェイ/トンプソン/イーズ/ローズ)、コーラスがローズ+チャーマーズ+ローズの三人。エンジニアがメルトン&マスターズ。そして、弦はフロリダへ移って、おなじみクライテリア・サウンドにてマイク・ルイスのスコアをマック・エマーマンがエンジニアとくれば、これほど完璧なメンツ揃いは珍しいくらい。
しかしここで疑問、マイアミ・サウンドなのだからわざわざアラバマへ来なくとも地元録音でいいのでは? いやいや、たとえばクライテリアには Dixie Flyers というハウスバンドがあったが彼らには跳ね≠ェ出せなかったね、きっと。それほどに、マッスル四人衆(+ピート)は上手いんだ、どんな音楽にも適応性抜群。じつにヴァーサタイルなリズム隊であったことよ。
とくにピート・カーはもともとフロリダから来てるしね、あっちでスタジオ仕事を始めたからマイアミ・サウンドもお手の物。この盤でのギター・パート、全体でジミー・ジョンソンが弾いているのは1割だろう。残り9割はピートのはず。1曲につき最低でも3本のギターはひとりでダビングしていると思う。前に書いたように、ジョンソンはギターを弾くよりも卓をいじりたがった人だが、ピートも卓をいじれる人_ジョンソンと違ってギターも弾くし卓もいじるタイプ。つまりエンジニアリングに長けていたから、ギターの重ね(dubbing)をヘッドアレンジできたんだな。(ロッド・スチュワートの "sailing" ではエレキ4本とアコギ3本をピートはひとりで弾いた) この盤での見事なポップコーン=Qマイアミ・サウンド特有のギター・フレーズ、を聴いて強く確信したのは、72年の大ヒット=ベティ・ライト "clean up woman" でのポップコーンはやはりピート・カーということ。世間ではウィリー "little beaver" ヘイルと認識されているが…。

マッスル系ライターであるフィリップ・ミッチェルの曲もあるが、マイアミのクラレンス・リード作2曲、シャピロも2曲書いている、曲もマイアミ寄り。とくにリードの曲はさすがで出来がいい(タイトル曲も)。
しかし前述どおりに、CD-Rで音は最悪。まったくヘンリー・ストーンたる者がなにをしているやら…。



posted by denny-0980 at 13:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月19日

Jackie Moore part 1


さしたるレスポンスもないままにずるずると続けている「マッスルショールズ探求」なんだが、すでに峠は越えている_それでもまだ手を付けていない盤が14、5枚ほどリストアップはしている。そんななかの1枚が日本でCD化されたことに気づいた。ジャッキー・ムーア盤。今年の初めにSOLIDからマイアミ・サウンドのシリーズ物として出ていた。
それを買おうかとネチってみるに、USでは既CD化されていた_ヘンリー・ストーンのところから。アマゾンのマケプ中古の最安値が¥1000(+350)…内容にほとんど期待は無いからこれでいいや、と…決めかけてよくよく見れば、日本の業者なんだがそのコメントに「輸入盤/未開封ですが、henrystoneものですのでおそらくCD-Rだと思います」とあった。ヘンリー・ストーンの正規盤で「アール」ってどういうこっちゃ? 逆に興味がわいたので買ってみた。
届くとこれ、ちゃんとシールドされている。ますます疑問がわいたのでネチってみたら、これは2011年盤だが、diskunion のサイトにもあった_「アーティスト及びレーベルサイドの事情でCD-Rでの流通になっています」。なんだよ、事情って??
なかをみたら、なるほどCD-Rでした。ジャケはペラ刷りのカラーコピー。その音も、板起こしでノイズ・リダクションまったく手つかず…、いや驚くね。こんな代物なのに、インレイクレジットに " production supervisor : joe stone / executive producers : henry stone & inez stone " とある。家族でしこしこアール焼きとカラーコピーしてます_てなことか?
ヘンリー・ストーンといえば、KCと組んでマイアミ・サウンドで大ブレーク…フロリダ音楽界の顔役のひとりだってのに、なんだってこんなブートレガーまがいのチープな仕事をやっているのだろうか。信じがたい。
しかし今回のソリッドからのCDも想像するに、マスターテープからでないのでは。このオリジナルは Kayvette という超マイナーで短期間しか運営されなかったレーベルから。マスターが残っているとはどうも思えないんだが…。手元のヘンリー・ストーン物の酷さに比すればまあ日本レーベルならばたとえ板からでもノイズ消しはきっちりやっているだろうけど。

さてタイトルを書き忘れていた。
『Jackie Moore / make me feel like a woman』
これ、Kayvette Records のファースト・リリース・アルバム。

'75 KLP-801 Jackie Moore / make me feel like a woman 
'77 KLP-802 Facts of Life / sometimes
'78 KLP-803 The Facts of Life / a matter of fact
'78 KLP-804 Brandye / crossover to brandye

ケイヴェットからはこの4枚しかアルバムは出ていない。ファクツ・オブ・ライフの2枚に関しては既に当方サイトでレビュー済み。
このレーベルは Brad Shapiro が興したものと思う。ミリー・ジャクソンのプロデューサーとしてが最も知られるところだが、ほかにも仕事多数。まあ当方もよくは知らないンだが…それでもマッスル掘りのなかにたびたび出てくるのでいくらかは調べた。白人で、もともとはスティーヴ・アレイモのドゥーワップ・グループのメンバーであったらしいシャピロ。その後ふたりとも裏方に回り、フロリダ音楽業界で名を上げてゆく。グループの裏方を務めていたヘンリー・ストーンのほうは一足遅れだったが、ケイシーと組むことでふたり以上に大きな成功を収める。大きく見ればアレイモ/シャピロ/ストーン…フロリダではかなり知られた顔役であるはず。(オールマン・ブラザーズの名曲のひとつ「メリッサ」が、グレッグとアレイモの共作であること、オールマン通ならば知るはず。後にサザンロックとして名を成す若手が彼らの下で修行をした)

++++

マッスルショールズと言って、ストーンズ/ロッド/ディラン/ポール・サイモン/トラフィックなどロック巨星らの名がまず挙がるところだが、実際は彼らは短期滞在…この名スタジオを長く贔屓にしたといえるのはブラック勢のほう。一番はボビー・ウォマックであり、ルーサー・イングラムやジョニー・テイラー等々。そしてプロデューサーで贔屓筋といえばドンデとシャピロ。まずドンデ…と勝手に呼んでいるのが Don Davis 。シカゴがベースの、ブラック系アーティストの裏方ワークで手腕を発揮した人。かなりの枚数をマッスル録音(ただし基本はマッスル/シカゴの2箇所録り。大抵の盤はこうだった)。そしてこのブラッド・シャピロ…。手がけたパフォーマーはブラックばかりだったので絶対に本人も黒人と思っていたら…違っていたので驚いた。ミリー・ジャクソンのマッスル録音は10枚近いはず。で、上記の、自身で興したレーベル盤も、すべてマッスル録音であった…、録りはマッスル!と決めていたかのよう。



posted by denny-0980 at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月05日

blogDJ_#036/ for your glitter night


darlene love/ christmas (baby please come home)

the pogues featuring kirsty maccoll/ fairytale of new york

pretenders/ 2000 miles

gary glitter/ another rock'n'roll christmas

ventures/ rudolph the red-nosed reindeer

band aid/ do they know it's christmas ?

mike oldfield/ in dulci jubilo

slade/ merry xmas everybody

wham/ last christmas

beach boys/ little saint nick (stereo single version)

tom waits/ christmas card from a hooker in minneapolis

RCサクセション/二人だけのクリスマス


クリスマスソングといって、ざっと思い出すまま並べてみるとUK勢が多くなるのは、USよりも宗教色が強いのだろうか、それとも北に位置して寒い場所だからなんだろうか。
シェイン・マックガァンとトム・ウェイツの濁声が図らずも洋の東西から…。
たんなるポップチューンと落とすには惜しい名曲、ワム。素晴らしいメロディメイク。こちらも名曲、凝ったコード進行の妙_RCのこの曲は、アコギ時代、12月しか聴けなかった(あたり前か)。


posted by denny-0980 at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | blogDJ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする